インプラント治療の成功には、ドクターの技術力がもっとも重要な要因です。
あなたのインプラント治療を成功させるには、経験が豊富なドクターにお願いしなければなりません。
ここで知っておかなければならないことは、治療はインプラントを埋め込む手術だけではないことです。手術前には、どこにどのようなインプラントを何本埋め込むかといった精密な診断が必要です。
インプラントの部位以外の歯の治療も必要になる場合も、しばしばあります。インプラントを埋め込んだ後は、噛めるようにクラウンなどの装着も必要です。治療が完了すれば、メンテナンスを行い、良いお口の状態を維持していく必要があります。
つまり、インプラント治療に付随する多くの作業も行う必要があるため、1年間に1人のドクターが埋め込み可能なインプラントの数は、最大500本程度と考えます。数多くのインプラントを埋め込んでいる医院の場合は、複数のドクターがいると思われます。埋め込み本数をドクターの数で割ることにより、正確な実績を知ることができます。
ドクターひとりあたり、年間200~500本くらいの埋め込みが適切な治療をしている目安になると思います。 「埋め込み本数は年間2,000本」と桁違いの本数が宣伝されていても、それが20軒あるグループ歯科医院の総合本数であり、ドクターが40名いれば、ひとりあたりの本数は50本です。たいしたことないのです。
そのなかの一部のドクターは、流れ作業の治療行程の中で、たくさんのインプラントを埋め込んでいるとは思います。
しかし、経験の少ないドクターもまぎれているのです。 研修は若いドクターにとっては大変重要なことですが、あなたが若い研修医のモニター患者(練習患者)になるのは得策ではありません。
経験豊富な医院で治療を受けることは必ずしも重要ではなく、「経験豊富なドクター」に治療をしてもらうことが重要なのです。 その医院にいる代診の先生ではなく、院長先生から直接治療を受けてください。技術のある先生は、自分自身が経営する医院をもっているはずだからです。
クオリティの高いインプラント治療を行うには、あまり多すぎる必要もありませんが、一定の治療経験が必要なのです。
患者さんが治療費の安さで医院を判断した場合や、歯科医が導入する価格が安いからといって成長が期待できないメーカーのインプラントを導入した場合、数年後そのインプラントが販売中止となっている可能性があります。
また、大幅なモデルチェンジを行った結果、メーカー自身が問題のあった製品を消滅させることもあります。
将来、患者さんの歯の状態は変わってくるため、インプラントの設計を将来は変更しなければならないこともあります。ですから、長期的な視点で、メーカーの信頼性を考慮に入れないといけないのです。
インターネットでそのインプラントを検索し、信頼できるメーカーかどうか調べて下さい。
各国に複数のインプラントメーカーが存在します。インプラント治療の最新情報は海外から入ってきますので、国内だけでなく、世界のシェアを確認して下さい。
今日のインプラント治療には45年以上の歴史がありますので、過去にはシェアを伸ばしたけれども、現在は消滅してしまったインプラントもあるのです。
たとえば、サファイア・インプラントやブレード・インプラント、骨膜下インプラントは消滅しました。
厚労省の認可がとれているインプラント・システムは数多くありますが、そのうち、世界的に信頼できるインプラントメーカーは数社なのです。
1.数多くの歯科医院を開業しているチェーン店歯科は避ける
チェーン店展開が歯科医業でしにくい理由は、仕事の内容に熟練が必要なため、均一な仕事内容を提供しにくいためです。
チェーン店歯科医院の分院長になっても、優秀な先生はノウハウを会得した後すぐに退社し、自分で開業してしまうので、チェーン店展開が難しいのです。いつまでもチェーン店に雇われ続けている先生は能力の無い方かもしれません。
また、チェーン店の理事長は、治療以外の業務に追われていると思われますので、経営能力には優れていますが、治療の技術に卓越している方は少ないようです。
チェーン店歯科では経営が悪くなれば、撤退の可能性が極めて高くなります。
2.担当ドクターが変わらないこと
インプラント埋め込み手術と、軸や被せといった上部構造の治療(補綴治療)で領域を分け、2名のドクターでインプラント治療を行う場合もあります。
しかし、良いインプラント治療を一貫して行うためには、治療のはじめから最後まで、一人のドクターが責任をもって診察、治療するのが原則と考えます。
チーム医療という言葉に騙されないようにして下さい。
インプラントの経験が少ないドクターが、チーム医療を組んでも何の意味もありません。
高い技術を持つドクターは、インプラントの上部構造(補綴治療)が理想的な配置になるようにインプラント手術を行ないます。チーム医療の名のもとに、インプラント手術と補綴治療を2名以上のドクターが担当すると仕上がりに誤差が出てしまうのです。
他医院で埋入した、3本のインプラントなのに2本の人工歯。
真ん中の一本は無意味です。
3.治療費が相場よりも極端に安い医院は避ける
一般に、料金がかかることには相場というものがあります。
インプラント治療にも相場があり、1本30~125万円です。
インプラントの埋め込み手術の際には、ドクターの技術力とインプラント自体の値段が治療費に影響します。極端に安い時は、ドクターが初心者だったり、
ノンブランドの安いインプラントを使っていたりして、経費を節約しています。
インプラントと歯槽骨との骨結合が完了してから、軸やクラウンといった上部構造が作られます。費用の差は、インプラント埋め込み手術の時よりも、軸やクラウンを作る補綴治療の時にでやすいといえます。
インプラント自体の型採りを行い、オーダーメイドのクラウンを良質な金属や素材を用いて作ると費用がかかります。一方、普通の歯の治療の時と同じ方法で型採りを行い、低い技術の技工士が安価な金属や素材で作れば安く仕上がります。
インプラント本体が埋め込まれたインプラント専用の型取り。この模型を作るだけで原価1万円程度かかります。
4.「激安インプラント専門クリニック」の落とし穴
当院で撤去した激安インプラント
チェーン展開型の激安クリニックの特徴として基本的に勤務医又はアルバイト医師、又は良くて雇われ院長なので2年前後で退職してしまう歯科医が80%です。
また、30才前後の若い歯科医が雇われ院長というケースが多いので経験が浅いはずなのですがホームページのプロフィールには年間500本とか書いてあったりします。
それでも貴方が激安クリニックで治療を受けたいのなら雇われ院長になって何年なのか?貴方のインプラント治療が完了するまで退職しないか確認しましょう。
5.インプラント20年保証とか一生保証というクリニックのカラクリについて
そのクリニックが20年後も存在している保証が無いのですから長すぎる保証を謳うクリニックは注意が必要です。
6.眠っている間にインプラント手術が終わる
当院では、日本歯科麻酔学会 認定医が在籍してますので、ご希望であれば静脈内鎮静(セデーション)によって眠っている間にインプラント手術を行うことが可能です。
しかし、「目が覚めた時にはインプラント手術が終わっている」というと聞こえは良いですが、良いことばかりではないのです。
インプラント手術は、細いドリルから太いドリルにて骨を順次拡大していくのですが、骨の硬い部分から軟らかい部分にドリルがブレることが多々あるのです。ですから細いドリルの時点で方向性や深さをCTで確認することが安全な手術なのです。眠ってしまってはCT確認ができません。
当院では「切らない縫わない手術」が80%を占めますので静脈内鎮静は全く必要ありません。手術時間も1本20分ほどです。また静脈内鎮静は通常7~10万円の費用が患者様の負担となるクリニックが多いです。但し、1度の手術で複数本のインプラントを埋入したり、大がかりな造骨手術の場合は当院でも静脈内鎮静を行うことは当然ながらございます。
7.日本製、一流メーカーのインプラント?
最近の他の歯科医院のホームページでよく見かける広告です。
激安だけど日本製一流メーカーだから大丈夫だと言っておられます。
ホームページ上では上手にブランド化されて説明や写真が載っているので不思議と一流な気がしてきます。
「保証も5年付いてます」と書いてあるので安心な気がします。しかし、6年目以降はどうなのでしょうか。
海外一流メーカーのインプラントは10年以上長持ちする統計が95%と出ています。40年以上の長持ちした人も実在します。
そもそもインプラントの一流メーカーとは海外のノーベルバイオケア社、ストローマン社、Zimmer社の3社くらいまでが世界基準でいう一流メーカーです。
日本製というと安心と思う方も多いのでは?と察しますが、つい5年ほど前に自称日本製一流メーカーのインプラント(A●▲インプラント)が日本国内だけで多くの日本の歯科医院に普及しました。しかしその後、本当の海外一流メーカーのインプラントよりも予後がよくないとのことで、現在導入している歯科医院は激減しました。
更にそれ以前には京セラのサファイアインプラントという商品も一時的に普及しましたが成績が悪かったため消滅しました。
ブレード型インプラントという製品も消滅しました。
日本には優秀な企業は多くありますが、インプラントに関しては私の見解としましては少々疑問が残ります。
8.インプラントの埋入実績が多すぎる医院は??
開院3年以内のクリニックはスタッフや医師も入れ替わりがあったり、技工士との連携も上手くいってないことが多いのです。また開院して3年以内のクリニックでインプラントの実績を年間500本とか1000本、はたまた通算4000本とか2万本などと表記、広告していた場合、誇大広告の可能性が大です。
その理由としては、インプラントの世界シェア2位メーカーのノーベルバイオケア社(埼玉エリア支部担当)によると、埼玉県(さいたま市、川口市、蕨市、戸田市、熊谷市、越谷市、鳩ケ谷市)内の歯科医院1292件のうち「300本/年間」以上のクリニックはわずか5医院とのことですから。
参考までに。
自治医大病院 100本/年(インプラント常勤医10人)
埼玉医大総合医療センター 歯科・口腔外科 185本/年(インプラント常勤医10人)
三井記念病院 歯科・口腔外科 121本/年(インプラント常勤医4人)
神奈川歯科大学 横浜クリニック 267本/年(インプラント常勤医2人)
日本歯科大学病院 インプラント診療センター 511本/年(インプラント常勤医19人)
※週刊ダイヤモンド 2013 6/15号より掲載
大学病院クラスで19人の歯科医で511本/年が最高値ですから、5000本とか2万本という数字は疑問ですね。
このレベルを10~40年で達成できる数値ですからね。
本数が多すぎると治療の精度は下がりますしね。
本数が少ないのも心配ですが…。
一流ホテル、デパートで車エビや芝エビと表示されていたものが実際はブラックタイガーやバナメイエビという事件がありましたね。
エビの偽装もインプラント年間○○本!というのも共通していることは自称○○本!であり第三者が証明していません。つまり証拠がないので言いたい放題の書き放題というのが現状です。
因みに当院では平成26年度、27年度zimmer社製のインプラントの出荷数(=埋入手術本数)が
埼玉県で第1位だったと販売元の会社から報告を頂きました。ノーベルバイオケア社製インプラントに関しましても平成23年に感謝状としてクリスタルガラスのトロフィーを頂いております。
ストローマン社より大量出荷数を記念してトロフィーをいただきました。